一棟マンションで地盤改良はどの程度発生する?必要性と費用の決まり方
一棟マンションの建築をご検討されている方から、「地盤改良はどの程度の割合で発生するのでしょうか」というご質問を頂くことがあります。
結論から申し上げると、地盤改良が必要になる割合を一律に示すことはできません。
地盤改良や杭基礎の必要性は、所在地だけで決まるものではなく、地盤調査の結果、建物の構造・規模及び基礎設計等によって判断されるためです。
ただし、東京23区でRC造・S造一棟マンションを土地から企画する場合には、土地購入後に地盤対策費が発生する可能性を想定し、事業収支へ一定の予算を見込んでおくことが重要です。
地盤改良の発生割合を一律に示せない理由
同じ地域にある土地でも、地層の構成や支持層の深さは異なる場合があります。
また、同じ土地であっても、建物の構造、階数、延床面積、重量及び基礎形式が変われば、必要となる地盤対策も変わります。
例えば、建物直下の地盤に十分な支持力があれば、直接基礎を採用できる可能性があります。
一方、軟弱な地盤が確認された場合には、表層地盤改良、柱状地盤改良又は杭基礎等を検討します。
したがって、「東京23区だから地盤改良が必要」「RC造だから必ず杭基礎になる」と一律に判断することはできません。
地盤改良の必要性を決める主な条件
地盤改良や杭基礎の必要性は、主に次の条件から判断します。
建物の構造と重量
RC造はS造と比較して建物重量が大きくなる傾向があります。
ただし、構造だけで基礎形式が決まるわけではありません。建物の形状、延床面積、階数及び設計内容を含めて検討します。
建物の階数と規模
階数や建物規模が大きくなるほど、地盤へ伝わる荷重も大きくなります。
また、建物の重心と剛心、荷重の偏り及び柱の配置等も構造設計上の検討事項になります。
地盤の支持力と地層
地盤調査により、地層の構成、地盤の硬さ、地下水位及び支持層の深さ等を確認します。
支持力が不足している場合や、不同沈下の可能性がある場合には、地盤改良又は杭基礎を検討します。
支持層の深さ
建物を支持できる地層が深い位置にある場合、杭の長さが増え、工事費が高くなる可能性があります。
杭は必ず岩盤まで施工するものではありません。杭先端の支持力や杭周面の摩擦力等を利用し、地盤調査と構造計算に基づいて設計します。
地盤対策費を左右する主な項目
地盤対策費は、単に土地の地盤が硬いか軟らかいかだけでは決まりません。
主に次の項目によって変動します。
- 採用する地盤改良又は杭工法
- 改良する深さ及び範囲
- 杭の種類、長さ、径及び本数
- 建物の構造、重量及び規模
- 支持層の深さ
- 地下水位
- 土質及び施工時に発生する残土
- 前面道路の幅員
- 重機の搬入経路
- 敷地内の施工スペース
- 電線及び周辺建物との位置関係
- 地中障害物及び既存杭の有無
- 工事車両の通行及び道路使用条件
東京23区では、地盤条件だけでなく、狭い前面道路、限られた敷地、重機の搬入及び作業スペース等が費用へ影響することがあります。
土地購入前に地盤改良費は分かるのか
土地購入前に敷地内の地盤調査を実施できない場合には、周辺のボーリングデータ、地形、地歴、近隣建物の基礎形式及び地盤改良会社等が保有する情報から、必要となる対策を推定します。
これにより概算予算を検討することはできますが、対象地で行う地盤調査の結果と完全に一致するとは限りません。
土地購入後の地盤調査によって、次のような変更が生じる可能性があります。
- 想定していた地盤改良が不要になる
- 工法が変更になる
- 杭の長さや本数が変わる
- 当初想定より費用が増減する
- 地中障害物等への追加対応が必要になる
したがって、土地購入前の概算費用を確定金額として扱うべきではありません。
事業収支には一定の予備費を設け、地盤調査後に構造設計者及び施工会社が正式な工法と費用を確認する必要があります。
地盤改良費が発生する土地は避けるべきか
地盤改良費が発生することだけを理由に、土地を検討対象から外す必要はありません。
重要なのは、地盤対策費を含めた総事業費に対して、建築可能規模、想定賃料、融資及び完成後の収支が成立するかどうかです。
地盤改良が不要でも、土地価格が高過ぎたり、希望する規模の建物が建たなかったりすれば、事業性は低下します。
反対に、地盤対策費が掛かっても、駅から近く、賃貸需要があり、十分な建物規模を確保できる土地であれば、検討できる可能性があります。
土地価格だけで判断せず、次の費用を含めて比較することが重要です。
- 土地代金
- 建築工事費
- 設計及び監理費
- 地盤調査費
- 地盤改良費又は杭工事費
- 解体及び地中障害物撤去費
- インフラ関連費用
- 登記、税金及び融資関連費用
- 予備費
EMAが土地選定時に行う地盤費用の確認
EMAでは、東京23区・駅徒歩10分圏内を中心に、RC造・S造一棟マンションの建築企画を行っております。
土地の検討段階では、周辺の地盤情報や過去の施工データ等を確認し、想定される地盤対策費を事業収支へ反映します。
そのうえで、土地購入後に対象地の地盤調査を行い、構造設計者及び施工会社と調整しながら、適切な基礎形式と工法を確認致します。
ただし、土地購入前の概算金額は、地盤調査後の正式見積を保証するものではありません。
地盤対策費の増減も含めて事業収支を確認し、土地と建物を一体で判断することが重要です。
具体的な土地が決まっていない段階でもご相談頂けます。
東京23区でRC造又はS造による新築一棟マンションを、土地選定から検討したい方は、施工事例をご覧頂いたうえで、お問い合わせフォームよりご相談ください。参考:
- 国土交通省「地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を求めるための地盤調査の方法等」
- 国土交通省「確認申請・審査マニュアル」




