財産診断とは、「答え」を出すためのものではない!
近年、財産診断に関するご相談が増えています。
背景にあるのは、「相続」や「節税」といった言葉そのものよりも、
- 今のままで本当に良いのか
- 判断を先送りしていないか
- いざという時に、説明できる状態か
といった、漠然とした不安であることがほとんどです。
多くの方は、不動産の数や借入残高、年間収支といった「数字」は把握されています。
しかし、それらが全体としてどのような状態にあるのかを、一度きちんと整理した経験は、意外と多くありません。
財産診断で行うのは、「良い・悪い」の判定ではない
財産診断というと、「この不動産は持つべきか」「売るべきか」
といった答えを出す作業だと思われがちです。
しかし、本来の財産診断は、答えを出す前段階の整理です。
- 不動産を時価ベースで並べる
- 借入を残期間・完済年齢・条件で整理する
- キャッシュフローを“黒字か赤字か”ではなく、将来耐性で見る
このように、一度すべてをフラットな視点で可視化するだけで、
「今まで見えていなかった歪み」に気づくことがあります。
それは必ずしも「問題」や「失敗」である必要はありません。
ただ、判断材料が整理されていなかったというだけのケースも多いのです。
多くの方が直面する「気づき」
財産診断を通じて、よく出てくる気づきには共通点があります。
- 収益は出ているが、出口が限定されている不動産がある
- 借入自体は無理がないが、更新のたびに条件が悪化する設計になっている
- 税務上は問題ないが、承継を考えると整理が必要な状態になっている
いずれも、「今すぐ何かをしなければならない」という話ではありません。
しかし、何も決めないまま時間だけが経つことが、将来の選択肢を狭めてしまうことは少なくありません。
なぜ「第三者による整理」が必要なのか
不動産や建築、金融の分野では、それぞれの専門家が存在します。
ただし注意が必要なのは、多くの場合、その意見には立場があるという点です。
- 売る側
- 建てる側
- 貸す側
それぞれの視点は正しくても、必ずしも「保有者にとっての最適解」とは限りません。
判断が難しい局面ほど、誰の立場で語られている意見なのかを一度引いて見る必要があります。
財産診断の本当の価値
財産診断の価値は「何かを動かすこと」そのものではありません。
- 動かさないという判断を、納得して選べる
- 将来、何かが起きた時に説明できる
- 判断を急がなくて済む
この状態を作ることにあります。
整理された上での「現状維持」は、先送りではなく、立派な意思決定です。
最後に
財産は、増やすこと以上に、誤らないことが重要になる局面があります。
もし一度、「今の状態をそのまま並べて見てみたい」
そう感じられたのであれば、
それ自体が、次の判断に向けた十分な一歩だと思います。




