地盤改良が必要な土地は避けるべき?一棟マンション建築の判断基準

土地から一棟マンションを建築する場合、「地盤改良が必要な土地と、必要のない土地では、どちらが良いのでしょうか」というご質問を頂くことがあります。

結論から申し上げると、地盤改良が不要な土地の方が建築費を抑えやすい一方、地盤改良が必要という理由だけで、その土地の良し悪しを判断することはできません。

重要なのは、地盤調査に基づいて適切な基礎形式を選定し、地盤対策に掛かる費用を含めても建築事業が成立するかを確認することです。

地盤改良の必要性は地盤調査によって判断する

建物を安全に支持するためには、建物の重量や構造に対して、地盤が十分な支持力を持っているかを確認する必要があります。

地盤改良や杭基礎が必要かどうかは、次の条件を総合的に確認して判断します。

  • 建物の構造及び重量
  • 建物の階数及び規模
  • 地層の構成
  • 地盤の支持力
  • 軟弱地盤の深さ
  • 地下水位
  • 沈下の可能性
  • 周辺建物及び施工条件

RC造はS造より建物重量が大きくなる傾向がありますが、RC造だから必ず杭基礎になるわけではありません。

比較的浅い位置に十分な支持力を持つ地盤がある場合には、RC造でも直接基礎を採用できる可能性があります。一方、S造でも地盤条件や建物規模によっては、地盤改良や杭基礎が必要になります。

主な基礎形式と地盤対策

建物の基礎形式や地盤対策には、主に次の方法があります。

直接基礎

建物直下の地盤に十分な支持力がある場合に、基礎から地盤へ直接荷重を伝える方法です。

地盤改良や杭工事を行わずに済む場合は、工事費を抑えやすく、工期面でも有利になる可能性があります。

表層地盤改良

地表面付近の軟弱な地盤へ固化材を混合し、地盤の支持力を高める方法です。

比較的浅い範囲の地盤対策として採用されます。

柱状地盤改良

地中へ円柱状の改良体を造成し、建物を支持する方法です。

軟弱地盤の深さ、土質、地下水及び周辺環境等によって、採用できるかを判断します。

杭基礎

地中の支持力を利用して建物を支える方法です。既製コンクリート杭、鋼管杭、場所打ちコンクリート杭等があり、建物規模や地盤条件に応じて選定されます。

杭は必ず岩盤まで到達させるものではありません。杭先端の支持力を利用する方法のほか、杭周面と地盤との摩擦力を利用する方法もあります。

また、杭の長さも一律に20mから30mと決まっているものではなく、支持層の深さや採用する工法によって異なります。

これらの方法は、単純に「費用や強度が上がる順番」ではありません。地盤、建物及び施工条件に適した方法を構造設計者が選定するものです。

地盤改良が必要な土地は悪い土地なのか

地盤改良が必要だからといって、その土地の立地や資産性が低いとは限りません。

東京23区では、河川周辺や低地等に軟弱な地盤が分布する地域がありますが、その中にも駅から近く、賃貸需要や将来の売却需要を見込める土地があります。

一方、地盤改良費が高額になる場合には、表面上の土地価格が安くても、総事業費では割高になる可能性があります。

そのため、土地を比較する際は、土地価格だけでなく、次の費用を含めて確認する必要があります。

  • 地盤調査費
  • 地盤改良費又は杭工事費
  • 杭の施工に伴う重機及び搬入費
  • 残土処分費
  • 地中障害物の撤去費
  • 既存杭の撤去又は再利用に関する費用
  • 工期延長に伴う費用
  • 将来の解体及び杭撤去費用

地盤改良が不要な土地でも、土地価格が高過ぎたり、建築可能規模が小さかったりすれば、事業として有利とは限りません。

反対に、地盤改良費を見込んでも十分な建物規模と賃料収入を確保できる土地であれば、検討対象となります。

地盤改良と災害リスクは分けて考える

地盤改良や杭基礎は、建物を適切に支持し、不同沈下等を防止するために行うものです。

地盤改良を行ったからといって、洪水、高潮、津波、内水氾濫、液状化及び地震等の全ての災害リスクを解消できるわけではありません。

土地を検討する際は、地盤調査とは別に、自治体が公表するハザードマップ等を確認する必要があります。

また、火災保険の水災補償や地震保険についても、一律に付帯を判断するのではなく、所在地の災害リスク、建物構造、補償範囲、免責金額及び保険料を確認したうえで検討することが重要です。

土地購入前に地盤改良費を確定できるのか

土地購入前の段階では、敷地内で詳細な地盤調査を行えない場合があります。

その場合は、次の資料から地盤条件を推定します。

  • 周辺のボーリングデータ
  • 地形及び地歴
  • 旧河川や埋立地等の履歴
  • 近隣建物の基礎形式
  • 既存建物の設計図書
  • 既存杭に関する資料
  • 公開されている地盤情報

ただし、周辺データと対象地の地盤が同一とは限りません。土地購入後の地盤調査によって、想定よりも地盤改良費が増加する可能性があります。

そのため、土地購入前の事業収支には、地盤対策に関する予算を見込み、調査後に正式な工法及び費用を確認する必要があります。

EMAが土地選定時に確認すること

EMAでは、東京23区・駅徒歩10分圏内を中心に、RC造・S造一棟マンションの建築企画を行っております。

土地を検討する際は、地盤条件だけで判断せず、次の項目を一体で確認します。

  • 土地価格
  • 用途地域及び接道条件
  • 建蔽率及び容積率
  • 建築可能な規模及び戸数
  • RC造・S造の適性
  • 建築費及び地盤関連費用
  • 周辺賃料及び賃貸需要
  • 融資条件
  • 完成後の収支
  • ハザード情報
  • 長期保有及び将来売却

地盤改良が必要かどうかではなく、必要な対策と費用を把握したうえで、収益性、安全性及び将来の資産性を総合的に判断することが重要です。

具体的な土地が決まっていない段階でもご相談頂けます。

東京23区でRC造又はS造による新築一棟マンションを、土地選定から検討したい方は、施工事例をご覧頂いたうえで、お問い合わせフォームよりご相談ください。

参考:

  • 国土交通省「地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力を求めるための地盤調査の方法等」
  • 国土交通省「確認申請・審査マニュアル」
  • 一般社団法人日本損害保険協会「水災への備え、本当に大丈夫ですか?」

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